沖縄の幻の洒 「芋酒（イムゲー）」の復活

摘要

芋酒とは，その名が示す通り甘藷（サツマイモ）を主 原料とした蒸留酒で，琉球国時代から明治後期頃まで庶 民に親しまれた自家醸造酒である。琉球庶民に親しまれ た芋酒であるが，琉球国が明治日本に組み込まれていく 過程で自家醸造酒が密造酒として取り締まりの対象とな り消え去ってしまった。自家醸造酒としての芋酒が消え て約100年後の2015年に芋酒を復活させるプロジヱクト が立ち上がった。芋酒は，泡盛とは異なり庶民文化であ るため学術文献などはほとんど残っておらず，当時の新 聞や寺社等の古記録を収集するところから始めねばなら なかった。本稿では，歴史に埋もれた芋酒の歴史と商品 化に至るまでの経緯について概説する。