レーザカオス時系列と信頼度に基づく無線チャンネル順位認識の実証実験

摘要

レーザに戻り光を与えることによって生じる高周波数の不規則振動（レーザカオス）は，様々な工学的応用が検討されている．近年，レーザカオスを用いて多本腕バンディット問題を解く高速意思決定アルゴリズムが提案され，最適な腕の識別を可能にした．さらに，先行研究では報酬推定値の信頼区間を考慮した拡張を加えることによって，各アームの報酬期待値の腕順位認識を行った．しかしながら，先行研究ではその検証は数値実験に留められており，現実問題での実証実験は行われていなかった．本研究は，無線通信での周波数帯域のチャンネル選択といった，ノイズによって比較的見かけの順位が変動しやすい環境において，先行研究のアルゴリズムにより高速に順位認識が行えることを検証した．最善以外の腕についてもその腕順位を正確に認識することは，チャンネルボンディングをはじめとする様々な現実問題への応用が期待できる．