五感とセンサ

摘要

五感の中で嗅覚に関係したセンサの開発が最も遅れていた。それは，化学物質を受容する部位に使用する材料が不明で，さらに人の感じる匂いとの対応付けが困難であったからである。本稿では，嗅覚と他の感覚との違いの説明に始まり，近年発展の著しい匂いセンサの全般的紹介と筆者のグループが開発している匂いセンサ(人工嗅覚システム)の紹介を行う。本システムは16個の異なる受容部を有し，これらの出力からなる応答パターンをAIで処理し，匂いの識別?判定を可能とする。ワインやビール，果物等，種々の食品の香り判別，トイレ臭気判定，加熱電線の焦げ臭ゃ変圧器の鉱油劣化の検知も試みられている。