自動車の排出ガス?粉じんと大気環境-第8講自動車から排出されるタイヤ摩耗粉じん一

摘要

自動車の走行に伴い排出される粒子状物質(PM)には、ェンジン内での燃料の燃焼により生じる排気粒子と、自動車が走行する際に夕イヤやブレーキが摩耗することにより生じる非排気粒子がある。排気粒子は、排出ガス規制の強化に伴う自動車のェンジン技術の改善や後処理技術の進歩により、年々減少している傾向にある。それに伴い、非排気由来の粒子の排出寄与は、相対的に高くなっている。非排気粒子は、車両が走行する際、力が伝達される過程で、クラッチ、ブレーキ、タイヤ等の車両部品に摩擦が生じることで発生する。タイヤに着目すると、エンジンからの出力は、トランスミッション、ドライブシャフト、プロペラシャフト等を通じて、最終的にタイヤに伝達される。その駆動力により、夕イヤと路面との間に摩擦力が生じ、結果として車両は走行する。車両が制動するときや旋回するときも同様に、制動力、旋回力によりタイヤと路面の間に摩擦力が生じている。車両が走るときには、常にタイヤと路面の間に摩擦力が生じており、その接地面では夕イヤ表面から夕イヤ摩耗粉じんが生じる。さらに、タイヤ摩耗粉じんの発生と同時に、路上に存在していた粉じんが、走行に伴い巻き上げられ、巻き上げ粉じんとして発生する。そのため発生するタイヤ粉じんには、夕イヤ由来の成分のみならず、路面、巻き上げによる粉じん由来の成分も含まれる。これらのうち、粉じんの粒径が小さいものは大気中に浮遊し、PM_(2.5)やPM_(10)として環境等に影響を与えることが考えられる。しかしながら、これらの排出実態を把握するには情報が不足しており、自動車の走行に伴い発生するタイヤ粉じんや巻き上げ粉じんの計測法を開発する必要性が増してきている。