パーソナル·ノート

摘要

『新建築』は、建築出版のトレンドを追うのではなく、自ら潮流をつくりだしていこうとする、長い伝統と情熱をもっている。『a+u』誌で特集号を編集するよう招かれたことは、私にとってたいへんな栄誉であった。そして、2つの新たな変化、おもにデザインに牽引されていたものから研究にもとづくコンテンツへの移行、建築的なものから都巿の感性とスケールへの移行をともに模索するよう求められたことは、その喜びにさらなる胸の高鳴りをもたらした。加えて、外国人がゲストエディターを務める特集号が彼らの文化に軸足を置くものになっているのにたいして、私は東京に焦点を当てるよう求められた。この驚くべき都市に向き合つてきた私のとり組みが評価されたことは、たいへんありがたいことであった。日本に暮らし、この国で働いてきた歳月のなかで私は、文化的な違い、私がこの国に移り住むきっかけとなつた、まさにその特質を大切にすることを学んできた。私の日々の暮らしと私の研究はいずれも、互いの交わりと語らいをべースにしており、文化的な隔たりを埋めていくのではなく、目に見えるものにしていくことを目指している。慶應義塾大学の私の研究室「co+labo」(2009～2021年)とco+re(我々の新しい国際的協働プラットフオーム〕の名に込められているように、私は落差の大きな他者性を楽しんでいる。私たちの理念と実践は、「喜び、幸せ、楽しみ、そして感性の印、生きることの印である「+」の印を抱くことの誇り」を胸に刻んでいる。「+」の印、それは私たちが、『a+u』と共有しているものである。