Split-step Pade近似の非線形音場解析への応用

摘要

本報告の主たる目的は，平面開口から放射された超音波ビームの非線形伝搬の解析に対して，新しい理論的アプローチを行うものである。基本的には，本アプローチは海洋音響の分野で広角PE法の一方向伝搬波動モデル式を得る際に効果的な方法のひとつと知られているSplit-step Pade近似に依存している。展開において2つのPade項しか含まないにも関わらず，本理論は音軸に対して±30°までのビーム角まで適用でき，この角度はKZKの式の適用範囲のおよそ2倍である。理論の有効性を証明するために，空中用超音波エミッタを用いて実験を行っている。数値例とそれに対応する実験結果のよい一致は，本提案モデル式と数値解析技術が比較的広い角度内で伝搬する非線形ビームの高調波成分のみならずパラメトリック音の理論的予測に有用であることを支持している。