教えることを学ぶ省察的実践者としての看護教員

摘要

実習記録が導く学生の体験 これまで、学生の学修進度に沿う形で、実習記録を とおした学生の学びと、それをふまえながら学生が省察的実践者へと歩み始める姿を見てきた。学生が省察 的実践者としての看護職者に育つには、教員がその架 け橋となる必要がある。そのためには、教員自身が省察的実践者として教育 を実践していくことが求められる。本稿では、教員の 省察的実践について考えるにあたり、実習記録を客体化することなく、学生の実習体験の延長線上に位置するものとしてとらえている。それにより教員は、学生の「その時その場」の出来 事と、実習記録における振り返りをもとに学生の体験を再構成することができる。実習記録を学生の学修成 果物として安住させず、私たち教員の教育実践の自覚 と改善に向けること、すなわち私たちの事象のとらえ 方や学生の見方へと矛先を変えることで、自らを問い直しながら学生の教育実践へと向かうことができる。このように実習記録は、学生だけではなく教員の省 察を促すものでもあり、その連関において、教員の経 験は、学生の実習体験の延長線上に位置づいている。