がんサバイバーシップ学 ?がんにかかわるすべての人へ?

摘要

がんは慢性病といわれる病気でもあり,5年相対生存率は疾患ごとに差があるものの男女計で64.1%となりました. このような背景は,がん医療にも変化をもたらし,現在では，がんの診断時からその人が社会に戻ることを見据えたがん医療となりました.この文脈では,がんを体験した人はがんサバイバーとして捉えられます.がんサバイバー支援は，第2期がん対策推進基本計画に明記され施 策が講じられているところです.しかし,具体的な支援については医療従事者の知識や認識の差が大きく,またアプローチも確立していないため，各々が模索している状態です.看護職のがんサバイバー支援に関心もまだまだ低いのではないでしょうか. 本書は,米国において治療後のがんサバイバーのニーズに対応できる医療従事者への教育，情報提供を行うために執筆されたものであり,その第2版が翻訳されたものです.がんサバイバーが治療後に抱えるさまざまな問題に対するアンメットニーズを明確にし，その実態を記述すること，そして臨床現場で何が必要とされているかの視点で記載されています.そのため,がんサバイバー支援を基本から学びたい方にはぜひ手に取っていただきたい1冊です.書籍の構成は，7部からなり，①がんサバイバーシップの概論，②サバイバー特有の課題,③症状の問題，④機能上の問題，⑤生活習慣の問題,⑥医療,⑦今後の方向性となっています.