1ポイントのトラフ濃度もしくは2ポイントの濃度を用いたべイズ推定によるバンコマ’ イシンAUC

摘要

2020年の米国感染症学会などのバンコマイシンモ二 タリングガイドラインでは,ベイズ法ソフトウェアプロ グラムを用いて,1ポイントあるいは2ポイントのバン コマイシン血中濃度の測定(そのうち少なくとも1ポイ ントはトラフ濃度)によって血中濃度一時間曲線下面積 (AUC)を算出し，AUCモニタリングを推奨するとい うことが公表された。AUCを推定するのにはトラフ濃 度の1ポイントで十分であるという見解もあるが,たっ た1ポイントのトラフ濃度では不十分であるという考え もあることから,2ポイントの測定も行われている。腎 機能が低下している患者や集中治療病棟にいる患者の場 合,トラフ濃度のみでAUCを推定するのは困難である という見解もある。今回，1ポイントのトラフ濃度のみ 用いることと，トラフ濃度を含んだ2ポイント以上を用 いることの正確性と信頼性を検討する。