27.急速進行性の神経障害を伴ったPOEMS症候群

摘要

POEMS症候群は形質細胞腫瘍に合併する傍腫瘍症候群である。脱髄性末梢神経障害からADLの低下をきたし独歩不能に至る症例も少なくなく,予後不良とされている。今回,急速な経過で歩行不能となったものの,KRd療法により神経症状の改善を認めた症例を経験したため既報の検討を交えて報告する。症例は36歳男性。2017年発症の椎体原発孤立性形質細胞腫に対して椎体摘出術および放射線による治療を行った後,経過観察されていた。2019年春頃より血清M蛋白とIgGの上昇を認め,多発性骨髄腫への進展との判断でVRd療法開始となったが,同時期に急激に神経障害が増悪し1ヶ月の経過で独歩から車椅子移動にまでADLが低下した。神経生検にて脱髄性神経障害を，また血清VEGF上昇を認め,POEMS症候群と診断した。KRd療法にて血液学的寛解に至り,神経障害も速やかに改善した。