甲状腺がん-進行甲状腺がんに対する分子標的治療

摘要

これまで，手術や放射性ョゥ素内用療法といった既存 の治療に抵抗性の進行症例甲状腺がんに対する有効な薬物治療はなかったが.2014年以降に計3剤の分子標的薬 が適応された。これによりこれまで治療方法のなかった 進行甲状腺がん患者の生命予後を延長し，腫瘍に起因し た症状の緩和が可能となった。一方でどの薬剤でも高頻 度に副作用が生じ，QOL (quality of life)に影響しう る。また薬剤は高価で医療費の長期負担が生じる。これ らを鑑み治療の益と害をよく考慮したうえで.患者への 十分な説明のもと分子標的薬による治療開始を慎重に判 断する。治療中は多職種が連携したチーム医療が求めら れる。副作用を適切に把握?評価し速やかに支持療法を 行うことで安全にマネジメントし，分子標的薬の効果を 最大限に発揮させることができる。