社会インフラストラクチャの情報ネットワークを支えるこれからの工場

摘要

手作業による家内生産から動力を用いた工場生産に移行した産業革命から二世紀余りを経て，今，いわゆる工場の役割が大きく変わろうとしている。ここでは，ソフトウェアやサービスも含めて工業製品を企画·設計し市場に提供する製造業としての組織体を広く工場と呼ぶことにする。これからの工場は，独立して閉じた競争的な従来の組織体から，社会インフラストラクチャの情報ネットワークでの情報提供ハブとして社会に開かれた存在になろうとしている。社会インフラストラクチャの情報ネットワークとは，電力網や交通網，流通網などを支える情報システムを始め，いまだに十分に整備されていない生活支援，医療·福祉，農業などの高度·広域化を支える情報ネットワークを意味する。これからの工場には，どのような背景と意義があるのだろうか。