カナダ·オンタリオ州の石炭火力廃止を支えた天然ガス火力

摘要

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大が世界全体を震撼させる「パンデミック（感染症の世界的大流行）の年」となったが、エネルギー·環境面ではコロナ禍からの経済回復と地球温暖化対策の強化の両立を目指す「グリーン·リカバリー」の機運が高まり、主要国が一斉に今世紀中頃までに温室効果ガス（GHG）排出を実質ゼロにする方針を表明する年となり、「カーボンニュートラル（脱炭素）」が世界の潮流として確立された。このカーボンニュートラルの実現に向けては、①エネルギー需要の電力化を推進し、増加する電力需要を低炭素、脱炭素電源でまかなうとともに、②電力化が困難な産業·輸送部門のエネルギー需要については、CO_2フリーの水素やアンモニア等でまかなうか、化石燃料を使用する場合はCO_2を回収し、地下に貯留することが必要となる。いずれの取り組みも実現には多くの課題の克服が求められるが、前者の電力部門の取り組みについては、CO_2排出の多い石炭火力を廃止する一方、再生可能エネルギー発電の導入拡大を図り、電力需給バランスの維持に天然ガス火力を活用することが少なくとも当面は最善の選択肢となる。