労研との四半世紀

摘要

労働科学研究所(以後、労研)の協力研究員を拝命して、来年で25年になります。1998年、労研の研究員をされていた川上剛さんに同行してパキスタンでの参加型安全衛生トレーニング「POSITIVE」に参加する好機を得ました。これは、労働組合の主導により、作業負荷、環境保護等の改善領域を討議し、「前向き」に改善を積み重ねるもので、アジア10カ国で成果を挙げています。成功した要因は、具体的な改善を通じて労使の意識を変え、自律的な活動を継続する点が大きいですが、アジアの国々の近代化つまり、経済成長と労働組合の発展が後押ししていると思います。その後も、多くのアジアの国々を訪ねましたが、そこでの光景は、日本の高度経済成長期の早送りを見るようで、これら参加型アプローチには、近代化という「大きな物語」を共有している「熱気」がありました。