目でみるトレーニング:問題1010

摘要

症例:20歳台の男性.主訴:全身倦怠感.?現病歴: 高校2年生頃から特に誘因なく,ひ きこもり状態となった.食事とトイレ以外は 自室で過ごし,入浴や歯磨きなども十分にし ない状態であった.X年1月から下腿浮腫が あり，寛解，増悪を繰り返していたようだ が，家族ともあまり接していないため詳細は 不明であった.同年8月から39°C台の発熱 があり,その後も37~39°C台の発熱が断続 的にみられた.8月下旬から全身浮腫の増悪 があり,全身倦怠感?摂食困難?体動困難に て9月に近医を受診し，精査加療のために当 科へ紹介された.既往歴: 特記すべきことはない. 家族歴:特記すべきことはない. 生活歴: 飲酒歴（―），喫煙歴はない.身体所見: 体温37.3°C.脈拍115/分.血圧 179/80 mmHg. SpO_2 94% （酸素 5L/分マス ク）.四肢に浮腫がある.検査所見 血液所見:WBC 10,450/μL, Hb.10.8g/dL,血小板8.2万/uL, PT測定不能. 血液生化学所見:空腹時血糖139mg/dL, HbA1c 3.6%, TP 6.0g/dL, Alb 1.6g/dL, BUN 10.2 mg/dL, Cr 0.8 mg/dL,総ビリル ビン 8.2 mg/dL, AST 52 U/L, ALT 37 U/L, Na 137 mmol/L, K 5.1 mmol/L, Cl 102 mmol/L, Cu25ug/dL （基準 66-130）, Fe 54ug/dL, NH3 95 ug/dL（基準12~66）, AFP 1.3ng/mL（基準10以下）.免疫血清学所見: セルロプラスミン4.8 mg/dL（基準21~37）, フェリチン179ng/mL（基準12~60）, HCV-RNA 陰性,HBsAg（-）, AN A <40 倍,AMA M2抗体陰性.入院時の胸部X線写真と腹部単純CTを示 す（図1）.心エコーではEF 70%で収縮能力 は保たれており，明らかな弁膜症は認めな かった.