急性の頭痛:静脈洞血栓症

摘要

症例:21歳男性.生来健康で特記すべき既往歴,家族歴はない.入院3日前より頭痛があり徐々に増悪,入院前日には嘔吐が出現し,当院救急外来を受診した.頭部単純СТ検査で特記事項はなく片頭痛疑いとされ帰宅となった.頭痛が改善せず入院当日に再び当院救急外来を受診した.日常生活に支障をきたしており帰宅は不可能,入院で経過観察の方針としたところ，入院受付をしている間に痙攣が生じた.再検して頭部СТ検査で左頭頂葉に出血性病変を認めた.昨日の頭部СТ画像（図1）を見返すと左横静脈洞，上矢状静脈洞（図2参照）に血栓を認め，頭部MR-venography（MRV）検査で脳静脈洞血栓症の診断となった.抗凝固薬,浸透圧利尿薬,抗てんかん薬を開始した.入院14日目の頭部MRV検査で静脈洞の再開通を確認した.血液検査でプロティンC欠乏症と判明した.抗凝固薬は3カ月で中止，以降抗てんかん薬の内服のみで外来で経過観察しているが,再燃はない.