数学者の思案数学研究と年齢

摘要

数学は若い人の学問とよく言われる。実際.無名の若者が世紀の難問を解決したとか，革命的な大理論を打ち立てたといった例は歴史上いくつもある。しかし最近は寿命の延び，アメリカの大学教授の定年廃止などによつて数学者の活動期間は昔よりだいぶ長くなつていると思う。前回は早熟な数学の才能について書いたが，今回は逆に，年をとつてからの数学研究の話である。特に，数学者としての研究のピークはいつごろ来るのか,またどのくらいの年齢までアクティブに研究を続けられるのか,ということを考えてみたい。前回，年齢にこだわるのはよくないと書いたばかりだが，今回の話はあくまで全体的な傾向の話であって，個々人の限界を設定しょうというわけではない。