エチオピアの皮革産業が持つ国際競争力の調査

摘要

アフリカ諸国，特にエチオピアは将来的に優れた原料皮および製品革の産地として成長することが期待されている。エチオピアでは，6,320万頭の牛，3,180万頭の羊，3,400万頭の山羊が飼われており，今や世界最大の畜産国の一つである。エチオピア政府は皮革産業を自国の重要産業の一つと捉え，力を入れている。本報ではエチオピアの皮革産業が持つ問題点と，国際競争力を持っために必要な条件を，2020～2021年にかけて，国内の皮革工場経営者に対してインタビューあるいはアンケートを行うことで調査した。その結果，エチオピアの皮革産業が発展するために克服しなければならない問題点として，政府による強力な支援策，インフラの整備，資本の調達，工場の管理能力，製革技術の向上，業界と研究機関の連携，薬品と機械部品の確保などを挙げている。これらの問題点の解決なくしてエチオピアの皮革産業が国際競争力を持つことは困難である。