地域に根付く「□?力ルさ」の再構築

摘要

敷地のある駒沢通りと環状7号線の交差するあたりは，通り沿いに間口の狭い店舗＋ 集合住宅，その裏に閑静な戸建て住宅地が広がる典型的な成熟した東京の郊外だ．建て替えられることなど考えられない，様式的なレンガ造の町家が建ち並ぶアムステルダムに住んでいるせいか，建物はどんどん建て替わっていくのに，住宅の粒，隙間，それを埋める緑からなるリズムは変わらない風景に私は不思議な魅力を感じる． 限界に近い高密度が最小の隙間で緩衝され，ヒエラルキーなく2次元的に広がっていく．そして，ひとつひとつの粒の意匠が異なっているために，かえって総体としては個性がなく，リズムだけが印象に残る．ストリートと建築の確固とした様式によって形成された，ユ二ークな総体を維持するために個の表現を許容しない，完成されているが硬直したヨー□ッバの都市住宅工リアとは対極的な，心安く柔らかい東京の郊外住宅地の固有なアーバ二ティがそこにはある．