土壌有機物の環境科学的側面： 土壌収着へ果たす役割

摘要

非意図的,意図的に環境中に放出された人為的に生 成された無機,有機の化学物質は気圏.水圏，地圏さ らには生物圏に分配され.代謝されていく。特に土壌 や底質（地圏）に分泌されたものは，固相との相互作 用があるがゆえに，その挙動はより複雑である。例え ば，シク口ジェン系殺虫剤は難分解性かつ疎水性が高 く生物の脂肪に蓄積して負の影響を示す残留性有機汚 染物質（persistent organic pollutants ： POPs)の1つ であるが，わが国においても1970年代初頭に農薬の 登録が失効したにもかかわらず.残留した圃場で栽培 したゥリ科作物の可食部から，2000年代中頃に残留 基準値を上回る濃度で検出され問題となった。