特集にあたって

摘要

消化性潰瘍治療薬は，文字どおり「消化性潰瘍（胃潰瘍，十二指腸潰瘍)」を治療す る際に用いる薬剤であるが，わが国では，いわゆる「胃薬」として一般に認知され，使 用されている。その歴史は，20世紀はじめの炭酸水素ナトリウムなどを用いた制酸薬療法に端を発 する。その後，わが国では，極めて多数の粘膜防御因子増強薬が開発され，一般臨床で その関連薬剤が使用されてきた。1980年代は，ヒスタミンH2受容体拮抗薬，1990年代 にはプロトンポンプ阻害薬が相次いで使用可能となり，2000年にはHelicobacter pylori除菌治療が保険収載された。