ベトナムのFRP事情

摘要

一般社団法人日本材料学会·複合材料部門委員会では国際交流の一環として，12年前，ハノイ工科大学を訪問し，複合材料に関する意見交換を行う機会があった。ハノイ工科大学での訪問先は，当時から国家重点研究所として，独立的に複合材料，樹脂およびゴム系材料を研究開発していたポリマーセンターであった。複合材料と言っても，同センターでの研究·開発対象はもっぱらGFRPであった。当時，ベトナムでは改革·開放（ドイモイ）政策が始まったばかりで，我が国からのFRP関連企業の進出もほとんどなかったと記憶している。また，地元企業もほとんどなく，国からの，あるいは一部民間からの「注文」を受け，ポリマーセンターが格納庫の屋根や，郵便ポスト，その他の製品をハンドレイアップ（HLU）法で生産していたのには驚かされた。その後，日本から様々な企業が進出，それに伴って合弁を柱にGFRPを大々的に生産する企業が続々設立された。以下，ハノイ工科大学·ポリマーセンターから頂いた情報およびインターネット情報を基に，ベトナムのFRP産業（もっぱらGFRP）について概説する。