高効率動き探索処理のためのSIMDデータパスの構成法

摘要

近年，高精細化の動画像符号化のニーズが高まる中，従来比2倍の圧縮性能を備えた符号化復号化規格H.265が標準化されているものの，その本来の圧縮性能を引き出すことが処理量増から非常に困難になっている．特に，符号化処理の大半を占める動き探索処理では，速度要求に応えられていないため圧縮率に大きく影響する探索精度を犠牲にせざるを得ない状況となっている．本研究では，高精度·高効率を両立する動き探索処理への対応を目指した2通りのSIMDデータパス構成法を提案する．一つ目は専用志向の構成であり，二つ目は従来のSIMDデータパスに一部機能を追加する汎用志向の構成である一各構成について，命令サブセットと水平方向重視およびスクエアパターンに対するブロックマッチングのステップ数を示し，動き探索の基本処理性能を比較し，従来のMPSADBW命令に比べ専用志向構成で最大11.65倍，汎用志向構成で最大7.91倍の高速化が可能であることを明らかにした．