OKI本庄工場H1棟

摘要

近年，電子製品の製造プロセスは，素材やエネルギーが部品単位で緻密に管理されている.そこではサーキュラーエコノミーによる完結型の円環構造により資源循環が形成され，部品当たりの製造時CO_2排出量が制御されつつある.一方，建築は膨大な種類の材料とエネルギーで形成されている.建物のライフサイクルのなかでそれらの資源は随時導入され，排出され，形を変え，新しいライフサイクルに流れていく.まるで乱流に生じる渦（ボルテックス）のように，複数の産物のサークルがカスケード状に繋がり，それらの間を資源が連関しながら環っている状態と言える.ボルテックスエコノミーは，自然のサイクルと人為的な営みが融合し，ある地域の中の資源を最適に環らせることを目指す社会像である.そして，多種多様で莫大な資源をストック&フローさせている建築は，そのハブとして重要な役割を担うものと考えられる。