PSpice（Cadence）はメジャーな商用の回路シミュレータの1つで，20年以上前から会社や教育機関で広く使われていました．PSpiceの製品版は100万円以上の金額だったので，小規模な企業では購入することが難しく，素子数が制限されたバージョンを利用する人も少なくありませんでした．テキサス·インスツルメンツは，2020年9月に無償のSPICE系回路シミュレータPSpice for TIをリリースしました．本シミュレータの主な特長は次のとおりです．（1）TI製アナログICや電源ICの製品ラインアップのモデル·ライブラリを5700種類以上装備；（2）TI製品のライブラリを活用して，複雑なミックスド·シグナル設計のシミュレーションが可能。本シミュレータは，回路サイズ無制限で，ワーストケース解析やモンテカルロ解析といった商用のPSpiceの高度な機能も使えます．本稿では，アナログ回路の定番IC OPアンプを用いて，PSpice for TIの使用例を紹介します．
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