導電性平膜を用いたレジオネラ属菌検出法の基礎的検討

摘要

近年我が国では、温泉や公衆浴場、一般家庭の循環浴槽におけるレジオネラ症が問題になっている。 レジオネラ症はレジオネラ属菌が原因でおこる感染症であり、検出には特殊な培地を必要とし、加えて培養日数が1週間以上必要なため、迅速な検出法が望まれている。このような中、細菌検出法として遺伝子検査法が注目されている。しかし、その方法は一度に使用できるサンプルが極微量であるため、レジオネラ属菌検出のような大量の水の中から数個の菌を検出しようとする際には不向きであり、採用されていない。このような背景から、当研究室では導電性平膜を用いて大量の水の中に少数存在するレジオネラ属菌を捕捉し、電界印加により遺伝子を分離し、遺伝子検査法により検出する新しい方法の提案を行った。本法を用いた場合、試料中のレジオネラ属菌総数が3000 個以上であれば検出可能であった。また検出に要する時間は全ての工程を含めて4時間であった。 このことは、従来の分離培養法が1週間以上かかるのに比べ迅速であり、本法は、レジオネラ属菌の迅速な検出法として有効であることを示したものと考えられる。