乳用牛を1日長く飼養することの経済価値の算出

摘要

酪農家のための育種改良目標は、所得の増 加（高い乳生産量）、コストの削減（良好な繁 殖性、少ない疾病）、管理のし易さ（気質、搾乳 性）、製品の品質（動物福祉と倫理）に分類できるとされた（Bo 2009)"。乳用牛の長期的な 遺伝的改良計画において、機能的形質の重 要性が増してきている。日本でも19年2月に 公表された乳用牛改良における総合指数であ るNippon Total Profit(NTP)は、数年おき の見直しにおいて在群期間に関連する耐久 性成分や疾病繁殖成分などへの重みを大きく している。また2011年からは、耐久性成分と疾 病繁殖成分にNTPの倍の重みを付けた「長 命連産性指数」を公表しており、在群期間の 重要性は増している。しかし、乳量のような生 産形質と在群期間をどのようなバランスで改良 するのが良いかの判断は難しレゝ。同じ基準で 比較できる指標として、経済価値で在群期間 を評価することが望まれるが、関係する要因が 多いことから、在群期間1日当たりの経済価値 の推定が困難であり、簡易な経済価値算出法 が求められている。