視神経乳頭?視神経腫瘍

摘要

視神経膠腫(optic pathway glioma : OPG)は,多くは10歳までの小児期に発症す る神経膠腫である.両側視神経から視交叉,視索,視放線を経て後頭葉視覚野にいたる視路の いずれかに腫瘍を認める.眼科学的症状は主な初発症状であり,眼科医を受診する場合が多い. 病理学的にはWHO悪性度分類グレード丨(gradeI)またはIIの低悪性度神経膠腫であるが, 視床下部等,周囲への広範な進展によって生命を脅かす腫瘍であり,視機能,内分泌機能等さ まざまな障害を及ぼす.このため可能な限り早期に診断するのが望ましい.腫瘍の摘出が可能 な場合は限られており,他の治療が必要となる.診断後の初期治療は,治療後の障害が問題視 され,放射線治療から化学療法へと移行してきた.近年,腫瘍の分子生物学的研究が進み,特 異的遺伝子異常を標的とする分子標的薬治療の導入も始まっている.腫瘍,腫瘍による障害に 対して,長期にわたりさまざまな治療と支援が必要な疾患である.