福岡市立平尾霊園合葬式墓所

摘要

近年の少子高齢化や核家族化，死生観の変化により，新たな形態の墓地を求めるニーズが高まり，福岡市が平尾霊園内に計画した合葬式墓所.霊園は市民の公園としても機能しており，公園と合葬式墓所の共存が求められた.さまざまな立場の人が利用する公共の合葬式墓所であるため，特定の宗教観を現すデザインは避けなければならない.一方で，お墓はぎわめてプラィべートな場でちある.誰もが公平に利用でぎながら，個々が思い入れを抱ける場所.公共性がありながら，プライべートな場所.特定多数のお墓であり，遺された人びとの祈りの場所.これら表裏の関係性を解くために，山の力を借りることにした.自然がつくり出す多様な景色や変化のなかに，各々が個人的なシーンを見出せれば，それが故人と繋がる記憶に変わると考えたからだ.