I.支持療法?緩和医療Up to Date

摘要

近年,肺がんの予後は分子標的薬と免疫チェックポイ ント阻害薬(ici)の登場により飛躍的に改善している。 新規薬剤?治療法は臨床試験の結果に基づいて実臨床で 適応されるが,臨床試験で証明された有効性を損なうこ となく患者に届けるためには,われわれがん治療担当医 ががんに関連した症状?兆候やがん治療に伴う有害事象 に対する支持療法に精通する必要がある。また,治療の 初期段階からの緩和ケアの実施ががん対策基本法で掲げ られてから久しく,がん治療と並行して実施する緩和ケ アの重要性に関してもエビデンスが蓄積されつつある。 支持療法?緩和ケアがカバーする領域は幅広く,国際的 な学会として知られるMultinational Association of Supportive Care in Cancer (MASCC)には 20 の study groupが,国内の学会である日本がんサポーティブケア 学会(JASCC)には17の部会と9つのワーキンググルー プが存在する。支持療法?緩和ケアは,①がん薬物療法 に起因する有害事象の管理および予防,②がん随伴症状 の管理,③緩和療法にかかわる薬剤などの管理,④精神 心理的な症状への対応の四つに大きく分けることが可能 であり(表1),それぞれに対して各施設でどのように対 応するか検討しておくことが重要である。支持療法の話 題は多岐にわたるため，本稿では新しいエビデンスが創 出された領域?注目されている領域を中心に概説する。