異強度板組の抵抗スポット溶接継手の剥離強度と破断位置に及ぼす材料強度の影響

摘要

近年，自動車分野ではCO_2排出規制への対応のため，燃費向上を目的とした軽量化が強く望まれている．また，衝突安全性の向上を目的として，部品の高強度化が図られており，これらを両立する手法として，車体骨格部品を中心に高強度鋼板の適用が急速に拡大している．1500MPa級ホットスタンプ鋼板（以下，1500HS鋼板）はすでに多くの車種に適用されており，さらには．バンパーレインフォースに1800MPa級ホットスタンプ鋼板を適用した事例も報告されている．一般的に，成形性や溶接性は鋼板の高強度化とともに劣化する場合が多い．例えば，自動車車体組立の主要接合技術である抵抗スポット溶接では，鋼板が高強度化すると継手の剥離強度が低下することが指摘されている．そのため，高強度鋼板のさらなる適用拡大のためには，鋼板の接合技術に関する知見が非常に重要である．