燃料電池システム~用途との関係~ 特集にあたって

摘要

先日、2017年に策定された水素基本戦略が6年ぶりに改定されました。国内の水素製造の基盤を強化することはもちろん、海外で製造された水素の導入も含めて、2040年までに水素の利活用を年間1,200万トン程度に拡大する内容です。エネルギー源の脱炭素化だけでなく、我々が直面しているエネルギー危機に今後どのように対応していくかを含めた指針が示されています。今回の改定では、水素の重要性が世界的に認識され、その普及と関連する市場が急速に拡大していることを受け、日本企業の優れた技術や製品を国内だけでなく海外の市場にも普及させて国際的な産業競争力を強化する水素産業戦略が新たに盛り込まれたことが特徴です。水素市場の立ち上げを念頭に置いた当初の内容が雇用創出を含めた海外市場の取り込みまでを想定したものへと変化を遂げたことは、本分野の急速な発展を反映したものといえます。