ターンスタイル形分岐回路を用いた超薄形広帯域導波管偏分波器

摘要

直交2偏波共用アンテナ給電系において水平偏波と垂直偏波を分離するために偏分波器が用いられる．本論文では，非常に薄形で，かつ広帯域にわたって優れた偏分波特性をもつ導波管形偏分波器を提案する．本偏分波器は，分岐部内に四角錐状の金属突起をもつターンスタイル形分岐回路，円形-正方形導波管変換器，ベンド状方形導波管多段変成器を用いた薄形分配/合成回路及び内部に吸収体を装荷した不要共振吸収端子から構成されている．ターンスタイル形分岐回路及び薄形分配/合成回路は本偏分波器の薄形化に寄与しており，円形-正方形導波管変換器は広帯域化設計に寄与している．また，製作誤差等により生じる不要共振を取り除くため不要共振吸収端子を設けている．試作したKu帯偏分波器は周波数11～15 GHz，比帯域幅30％においてVSWR1.20以下，偏波間アイソレーション47 dB以上の良好な特性を示した．なお，本偏分波器の高さは20.2mmであり，非常に薄形で広帯域にわたって良好な特性を有する偏分波器が得られた．