流域スケールの土地の幸乞湿および浅層地下水流動予察のための地形学的手法

摘要

ぺドロジーの研究対象において，地下水と廼接あるいは間接に関係する事象は多い。 グライ層や斑紋の生成はその例であり，この種の土壌生成と地下水位との関係が詳細に吟味されてきた（浜崎，1981，2001）。 また，近年，窒素化学肥料や家畜排せつ物に由来する地下水の硝酸塩汚染が大きな問題になってきた。 この間題においても，浸透過程における硝化，脱窒現象の解明に，ペドロジヽ－の寄与は大きい。 しかしながら，ペドロジーーの手法が及ばない領域が存在することも事実である。 たとえば，上述の例において，グライ層や斑紋の生成と密接に関係する地下水位およびその鉛直方向の変動特性は，当該土壌調査地点背後の地形特性に強く規定された地下水流動の結果として現れるものであり，圃場スケールを超えた流域スケールの地下水流動を視野に入れることが不可欠である。 この流域スケールの地下水流動の視点は，地下水の硝酸塩汚染の実態（硝酸塩濃度の空間分布）を的確に把握する上でも極めて重要である（豊島，1999）。 ここに，「地域，流域を対象とした新しいペドロジーし」を求める必然性の一つがあると考える。 本稿では，扇状地地帯を対象に，流域スケールの地下水流動を予察するための地形学的手法を紹介し，これとべドロジーの連携のあり方を提案したい。 なお，ここでは浅層地下水（不圧地下水）を対象にする。