健康増進と疾病予防

摘要

医師として日々診療していくなかで,急性期の疾患や慢性疾患の管理だけでなく,患者 一人ひとりの健康増進と疾病予防を行っていくことも重要である.疾病予防の介入に際し ては，患者はとくに症状は認めず困っていることのない状態であるため，その介入によって 得られる利益は害を上回るという医学的根拠が不可欠である.しかし,現在の日本におけるがん検診?健診?人間ドックは必ずしもその根拠が確立されたものばかりではなく，その 方法や根拠は日々更新されている.さらに,医師はアップデートされた根拠に基づく介入を 行う際に，患者の背景や想いに沿った医療を選択，提供することにも留意する必要がある. 本稿では多忙な外来診療の間にどのように健康増進と疾病予防に取り組んでいくか,その取 り組み方や注意点に関し解説し,明日からの日々の診療に取り入れられることを目的とする.