理科教育雑感 誤概念·誤認識はこうやって生じる（2）～知識は都合よく化ける

摘要

この原稿を書いているのは、オリンピックが終わり、パラリンピックが始まろうとしている頃であるが、新型コロナウイルス新規陽性者数は、デルタ株の蔓延に伴って増加の一途である。先日、二回目のワクチン接種を済ませた方が、マスクをせずに飲食店を訪れ店員さんともめている場面に遭遇した。「ワクチン接種を済ませているのだから大丈夫」という言い分である。最近ではそのような誤解がだいぶ是正され、ワクチンはあくまでも体の中に抗体を作り免疫力をつけるものであって一〇〇%感染を防ぐわけではない、という認識が定着してきているのでこのようなことも少なくなってきている。しかし、当初はワクチン接種すれば大丈夫という誤認識が広がっていたのは事実だろう。コロナ禍の閉塞感の中で、そうあってほしいという希望にすがりつきたくなるのも当然だと思う。ところが事実は違い、ワクチン接種は万能ではない。感染率を低下させ、感染しても症状を軽減できるというものであって、感染しない·させないための予防措置はワクチン接種後でも続けなければならない。