Melanoma and Non-Melanoma Skin Cancersメラノーマ?皮膚癌

摘要

総括:皮膚科の診療は多岐にわたることが特徴であり,膠原病（エリテマトーデスや強皮症）のような内科的疾患から角化異常症（魚鱗癬など）や母斑などの皮膚科固有の疾患,さらには各種の良性?悪性腫瘍まで多彩な疾患を対象とする。治療手技に関しても,内科的治療や外科的手術療法に加えて軟膏療法のような皮膚科特有の治療法もあり,それらを駆使して治療に当たることになる。皮膚には多彩な悪性腫瘍が発生し,それぞれが特有な疫学的,形態学的,生物学的特徴を有する。また,その発生頻度には顕著な人種差が存在し,白人で圧倒的に多く,黒人には少なく,われわれ黄色人種はその中間である。人口の高齢化と生活環境の変化などを反映して,日本でも各種の皮膚悪性腫瘍患者が明らかに増加している。皮膚に原発する悪性腫瘍は患者の生命予後という第一義的な医学的問題に加え,術前?術後の機能的,整容的問題を抱えることが多く,患者のQOL（生活の質）を考慮した対応が要請される。いずれにしても,皮膚悪性腫瘍が皮膚科診療の最重要分野の一つであることに疑問の余地はない。