非接触濡れ性評価装置とその応用

摘要

一般的な濡れ性評価方法としては，計測対象表面に調べたい液体を滴下し接触させた際の表面と液滴との．なす角である接触角がよく用いられており，計測対象表面が乾燥状態にある場合には，簡便に濡れ性を評価することができる。これに対して，計測対象表面が湿潤状態にある場合では滴下した液滴と表面とが速やかに融合するため，接触角の計測が困難であった。特に生体材料や生物の表面においては，乾燥状態と湿潤状態では表面物性が変化することも指摘されているため，湿潤状態での濡れ性評価のニーズは高い。液中での湿潤状態における濡れ性評価法として，液滴の代わりに気泡を利用したキャプティブバブル法もあるが，特殊な器具が必要となるなどの課題がある。このような状況を鑑みて，これまでに著者らは，対象表面を覆う液体を一時的に除去した際の液体の挙動から対象表面の滞れ性を評価する非接触滞れ性評価装置を開発している。本稿では，非接触滞れ性評価装置の概要と湿潤状態での滞れ性が重要な培養細胞への応用について紹介する。