抗凝固療法，線溶?抗線溶療法

摘要

C0VID-19ではDダイマーの増加やフィブリノゲンの増加に代表される凝固異常が発症初期から見られ, 重症化と関連していることが注目された.そして中等症以上の病態では深部静脈血栓症,肺血栓塞栓症， あるいは脳梗塞や冠動脈血栓症などの動脈血栓の合併も,その他の感染症よりも頻度が高いことが明ら かにされた.さらに肺毛細血管領域に形成される微小血栓は呼吸障害の悪化に深く関わっていることが 知られている.これに対し,抗凝固療法,抗血小板療法，線溶療法が試みられ，その有用性が検討され ている.抗凝固療法については，無作為化比較試験によりヘパリン，低分子ヘパリンの予防用量と治療 用量の比較が行われ,中等症においては治療用量の有用性がみられたものの，重症例では同様の効果は 見られないという結果が報告されている.抗血小板療法や線溶療法については臨床試験結果が待たれて いる状態である.