FBRサイクル完結に向けて邁進するロシア

摘要

ロシアは、温暖化防止のパリ協定順守に向け、再生可能エネルギーと原子力のバランスの取れた利用を目指しているが、なかでも原子力は気候変動問題解決の決定打になりうるとして、その技術革新に向けた開発を精力的に進めている。その推進母体である国営原子力企業ロスアトムは二〇一七年一二月に「ロスアトムにとっての一番の優先事項は、高速中性子炉を基本とした閉じた核燃料サイクルの開発である」との見解を表明している。実際にロシアは、高速増殖炉（FBR）開発では世界をリードしており、原型炉BN-600が四〇年近い運転を続けるベロヤルスクに実証炉BN-800を建設して二〇一六年一一月から商業運転を開始しており、さらに商用炉BN-1200の設計も進めている。