CFRP対称アングルプライ積層板の高温におけるクリープ挙動とその解析

摘要

航空宇宙機器用の高分子系繊維強化複合材料（PMC）に対しては，それらが約－180～300℃の温度範囲で利用されることを想定しなければならない．汎用輸送機器等に応用されるPMCについても，ガラス転移温度以下のある温度範囲で性能を発揮することが求められる．一方，高分子マトリックスの力学的挙動が広い範囲の温度で時間や速度に依存することはよく知られており，その程度は高温になるほど著しくなる．これは，PMCの強化繊維方向から偏る方向への力学的応答が高分子マトリックスの時間・速度依存性の影響を受ける可能性の高いことを示唆する．したがって，PMCを用いた高性能機器・構造体の信頼性を保証するためには，PMCの変形と強度における時間・速度依存挙動を定量的に明らかにし，さらにこれらを精密に予測する技術を確立することが不可欠の要件となる．