微小液滴の振動周期に対する振幅効果

摘要

微小な液滴が自由振動をするとき，液体の表面張力を起源とし，液滴のサイズに応じた固有振動が生じる．このため，液滴の振動を観察することで液体の表面張力を高い時間分解かつ非接触で測定することができる．この手法を用いて微小液滴を衝突させた直後の液体の拡散·化学反応などの高速なダイナミクスを理解することも可能である．しかし衝突によって液滴には大振幅の振動が誘起され，また大剪断も加わることになる．このような場合，液滴振動が固有振動からズレるため，正確な表面張力の算出が困難であった．そこで，大振幅かつ大勢断が加えられた液滴の振動周期への影響を実験により観察した．インクジェット技術により射出された粘度の低い液体においては，液体の種類によらず同様の傾向を示し，大振幅，大剪断の場合は振動の周波数が固有振動に比べ著しく遅くなることが分かった．これによって，液滴が衝突した直後のドラスティックな変化の最中の表面張力を正確に補正することができるようになる．