自動運転車の社会受容性について: 事故判例の分析から

摘要

2019年中の24時間死者数は3,512人と戦後最少となった．政府は車両の安全対策等によって2020年までに24時間死者数を2,500人以下の世界一安全な道路交通を実現するという目標を掲げている．昨今の法令違反別死亡事故件数データによれば，死亡事故の96%がドライバの運転操作に係る義務違反に起因しており，われわれは，自動運転車の普及によってこのような現在の交通事故の多くを減らすことができると考えている．自動運転車の導入期において，自動運転車とドライバが運転する車が道路上で混在する状況となることが考えられる．そうした状況下で安全で円滑な交通社会を維持するためには，他の交通参加者に危険を及ぼすことのない自動運転車のふるまいが重要となる．より安全な交通の実現する自動運転車のふるまいをどう考えていけばいいのか，交通事故の判例を参考に考えていきたいと思う．