わが国の畜産分野における 温室効果ガス削減研究紹介:3)低メタン産生牛の育種

摘要

家畜および家畜排せつ物管理から発生する わが国の温室効果ガスは二酸化炭素（co2)換算で13，581ktとされており、わが国の温室効果 ガス総排出量の1.1%に相当する。そして、その 56%は乳牛および肉用牛の消化管内発酵、す なわちルーメン発酵に由来するメタンによって占 められている（図1)。そのため、ル一メン発酵に 由来するメタン排出量の削減技術に関する研 究の加速が強く求められているところである。メ タン排出削減技術の開発が喫緊の課題である ことは言をまたないが、開発に際しては、反すう 家畜が果たしてきた飢餓の克服、貧困の撲滅、 食料生産、食文化や食料安全保障等に関する 役割の重要性ついて十分に考慮すべきことも 忘れてはならなレゝ。すなわち、メタン抑制技術は生産性向上技術と矛盾するものであってはなら ず、生産性の向上と環境負荷低減の調和的解 決を目指すものでなければならない。