都市下水に含まれる有用な疫学情報について、学術的には数多くの報告が行われてきた。昨年来、最も活発なのが新型コロナウイルスに関するものであり、文字どおり世界中の下水疫学に関わる研究者からの報告が出てきているが(例えばAhmed et al.,2020)、新型コロナウイルスが出現する以前から、A型肝炎ウイルスやノロウイルスなどの水系感染症ウイルス(Hellmer et al.,2014:Kazama et al.,2016)、農薬(Rousis et al.,2017)、および違法薬物(Thomaidis et al.,2016)などの下水中濃度と下水集水域における感染者数や使用量との関連が報告されている。
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