ナノコンポジット光学材料,およびこれを使用した撮像用白色回折レンズ

摘要

高い透明性を有し，かつ加工性·軽量性に優れる光学樹脂の用途は，光学機器の小型化·多機能化のニーズを受けて拡大の一途をたどってきた。その中で，特にレンズに使用される光学樹脂は，薄型化·高画質化の観点から，屈折率とその波長依存性の選択自由度が要求される。材料の屈折率は構成原子の原子屈折に依存する。したがって汎用光学樹脂においては使用可能な元素が限定されるため，屈折率の制御範囲はガラスなどの無機材料と比較するとかなり限定されることになる（図1の網掛け部）。筆者らは，屈折率の制御範囲が広い無機ナノ粒子を樹脂中に分散させたナノコンポジット光学材料を開発した。樹脂の特長である加工性を確保しつつ，樹脂単独で困難な屈折率特性を実現したので以下に紹介する。