薄膜材のための小型疲労試験機の開発

摘要

従来技術の欠点を改善すべく，最近，マイクロインデンテータが開発され，微小領域の機械的特性を調べる試みがなされている．この方法は，微小な押込み用圧子を試験片表面に押込むという簡単な方法であるが，押込まれた圧子周囲では多軸応力状態となり，圧子そのものも変形をするので，試験データから応力解析を行って機械的特性を求めるという煩雑な手順を踏まなければならない．このため，微小材料に対して一軸方向に荷重を伝えることができ，また繰返し荷重を作用させることが可能な新たな試験方法および試験装置の開発は必要不可欠である．本研究では，アクチュエータとして圧電セラミックス素子を利用した小型疲労試験機を試作し，微小材料としてとくにSUS304鋼薄膜材を対象にその機械的特性，疲労強度特性を把握することを試みる．従来から，汎用型材料試験装置においてはアクチュエータとしてモータや油圧サーボ機構が用いられてきたが，入力信号から出力としてのアクチュエータ変位を発生させるために多くの変換機構を必要とするため，試験機の制御部，駆動部が煩雑となっていた．