偶然×幸運＝奇跡

摘要

生まれてから早や60年が過ぎた我が人生を振り 返ってみると，可もなく不可もなし賞罰もなしで，平々 凡々と生きてきたように思うが，もし，あの日，あの 時「…たら」とか「…れば」などと安易に片付けるべ きではない，いくつかの偶然と幸運が重なった事象が 起きなければ，私はこの世に存在しないか，あるいは 抹消（消去？ ）されていたかもしれない。 その第一は 昭和20年12月，粉雪が舞う寒い夜に母の陣痛が始ま り，偶々，父は産湯に使う水を大鍋（湯釜）に入れ， 竃に火を付けてからベテランの産婆を呼びにいったの だが，運悪く他所の出産に出かけていて，19歳の見習 い産婆しか残っていなかった。