選択的ノード保護下における偏った次数分布を持つネットワークのロバスト性評価

摘要

ネットワーク科学の分野では、ネットワーク攻撃に対するネットワークのロバスト性を評価する研究が行われている。先行研究では、攻撃者からネットワークの情報を部分的に秘匿し重要なノードへの攻撃を防ぐことでネットワークのロバスト性が向上することが示されている。本研究では、各ノードの重要度を推定する指標にしたがって重要なノードを選択しネットワークから除外されないようにする選択的ノード保護を行った場合におけるネットワークのロバスト性を分析する。その結果、（1）選択的ノード保護によって偏った次数分布を持つネットワークのロバスト性を効果的に向上させることができること、（2）偏った次数分布を持つネットワークのうちコミュニティ構造が強いネットワークは選択的ノード保護に用いる指標によってロバスト性向上効果に差が生じること、（3）媒介中心性を用いたノード保護はコミュニティ構造の強さに関わらずネットワークのロバスト性を向上させる手法として有効であること、を示す。