有効応力集中係数を考慮した修正ENS法の提案: 裏当て金付き突合せ溶接継手への適用

摘要

溶接継手の疲労性能評価手法として，有効切欠き応力法（ENS法）が知られているが，過度に安全側の評価となる可能性があるうえ，角変形に関する明確な記述はない。一方，近年提案された有効応力集中係数は，引張側の応力範囲に基づいて定義され，一部の継手形式に対して疲労性能との相関の高さが示されている。本研究では，裏当て金付き突合せ溶接継手を対象として疲労試験を実施するとともに，有効応力集中係数を考慮した修正ENS法の提案を行う。はじめに，疲労寿命評価に用いる応力範囲においては，角変形を考慮した有効応力集中係数に基づく評価結果の予測精度が最も高いことを確認した。次に，有効応力集中係数の算出式を用いて修正S-N線図を提案した。提案手法により4種の継手に対して統一的に高精度な寿命評価が可能であることを示した。